1 学校教育目標 夢と希望を持ち,
生き生きと輝く児童の育成
2 めざす児童像

自ら学ぶ子
○自分が好きな子

明るく元気な子

3 研究主題 自分の考えをもち,
進んで表現できる児童の育成

4 主題設定の理由
 

 本校では,ここ数年,児童や教師が学び合い協働性を高めることを目標として教育活動に取り組んでいる。教師の説明を中心とした学習を展開していく指導のあり方を改善し,児童一人一人が自分の考えを持って,人と対話し協働しながら,新しい考えを創造できるような学習活動を行うために授業改善を重ねてきた。その結果,「個」と「集団」が関わり合って学習する場面(子ども達が協働する場面)を設定することを意識して授業に臨む教師の姿が多く見られるようになった。しかし,それらの場面での児童の様子を振り返ると,課題として以下の3点が挙げられた。 

 ・課題に対して自分の考えを持つことが難しい。
 ・課題の解き方や考え方に自信がなく,説明が消極的になる。
 ・自分の思いや考えをもっていても,語彙が少なく,どのように表現したら良いか分からなかったり分かりやすく整理できなかったりする。  

 また,令和元年度全国学力・学習状況調査では,「国語の授業で自分の考えを話したり書いたりする時,うまく伝わるように理由を示すなど,話や文章の組立てを工夫していますか。」や「算数の授業で問題の解き方や考え方が分かるようにノートに書いていますか。」の設問に肯定的に回答した児童は全国平均を下回っていた。つまり,自分の考えを根拠や理由を明確にしながら書いたり話したりすることができる児童が少ないということである。また,自分の考えを積極的に伝えたいという意識の低さも相まって,授業の中でペアやグループでの学習を設定しても,そこで考えが吟味されたり再構築させたりすることができないため有意義な「協働」の授業には至らず,深い学びにつなげることが十分にできなかったと考える。これらを踏まえて,まずは,一人一人が自分の考えをもって学び合いに参加できるようにさせたい。また.課題の解き方や考え方のモデルを示して,自信を持って発表できるようにさせたい。さらに,児童の語彙を増やし,既習事項を生かして表現できる技能を高めたい。そのために「児童が学習意欲を高める工夫」,「自分の考えを表現する能力の育成」などに取り組む。以上のことから,本校においては「自分の考えをもち,進んで表現できる児童の育成」が重要課題であると考え,本主題を設定した。  

 


5 授業における具体的な取組

(1)学習意欲を高める工夫

 ①学習課題を自分自身のものとする「自分事化」
 自分の考えをもたせるために,学習課題の設定においては,学習課題を自分自身の課題として認識させたい。そのために重視したいのが,学習課題の「自分事化」である。低学年の学習は生活に密着したものが多く,学習を自分の事として捉えやすい。しかし,学年が上がるにつれて学習内容が概念的になり,自分の事として捉えにくくなることで学習意欲が減退することが多いと考えられる。学習課題を自分の事として捉えさせ,児童の学ぶ意欲を引き出し,主体的な学習につなげる。
 ◆児童にとって必要感のある課題にする。 実生活の具体的な場面を想定させたり,具体物を見せたり既習事項を振り返らせたりする中で,児童の気づきや疑問を大切にした学習課題を設定する。   
 ◆学習の見通しを持たせる。 学習課題から授業のゴールを意識させ,ゴールに行き着くためには,「何についてどのように考えていけばよいのか」ということを全員で共有し,学習の見通しを持たせることを大切にしていく。

 

 ②「協働」する授業 本校では「協働する」「協働して学びを深める」ことを次のようにとらえている。

 協働するとは…   
  聴き合い,認め合い,つながり合い,学び合い,高め合い,
  他者(友だち)と共に考え,よりよいものを創り出していくこと

 協働して学びを深めるとは
 (前提 教科の目標を達成し,基礎・基本の知識・技能を習得する)
 (1)一人では解決できない課題への新しい見方や考え方を生み出す
 (2)多様な考えを出し合い,自分や集団の考えを発展させる
 (3)他者とのかかわりによって見方や考え方が広がり,
    学びの実感(「分かってよかった」)することができる

 (4)さらに「次はこれを考えたい,学びたい」という学習意欲が高まる

 「協働」する授業とは,ただ単にペア学習やグループ学習・ディスカッション・調べ学習を取り入れているといった表面的なことではない。何のために話し合うのか,何がゴールなのかを明確にしつつ,子ども達に課題に対する自分自身の考えを持たせ,相手に伝えることが必要である。「協働」することを通して「わかった」という達成の喜びと,「できた」という習熟の喜びを子ども達自身が実感できるようにする。みんなと共に「わかる・できる」を共感するために,例えば,ペアトークを行ったり,友達の発言を自分の言葉で再現したり,友達の発言の続きを予想して自分の言葉で表現したりして,発言をつなげたりシェアしたりする。一人の意見がペアやグループでの学びを経て,みんなの学びにするための場づくりやコーディネートを教師が行う。教師の声が多く聞こえる授業から,児童の声が多く聞こえる授業への転換を図る。授業の中で,児童が自分の意見や考えをたくさん話したり,伝えたりする場面が作れていたか,そして,それをペアで,学級全体で,共有できていたかということをもとに授業公開及び事後研究会を行う。このように,授業をマネジメントし,コーディネートする指導力が授業者に求められていることを意識して「協働」する授業を目指していきたい。


(2)自分の考えを表現する能力の育成

  ①ノート指導の充実
  ノート指導(学習)では,発問に対して考えを書く,発問に対して調べて書く,友達の意見をもとに考えて書く,ノートを工夫してまとめる,毎時間の授業の感想を書くなど様々な活動を通して,書く力と考える力を育てている。課題に対して,答えを考えたり,探し出したり,口頭の発表であれば,すぐに反応することができても,書くことを負担に感じる児童がいる。適切な言葉が思い浮かばなかったり,順序よく書く技能を身につけていなかったりするためである。そこで以下のような手立てをとっていく。

 ◆表現できる技能を育成するため,適切な表記の仕方(モデル文)を示し,語彙を増やす。
 ◆思考の過程を可視化して整理するため,思考ツールを活用する。
 ◆どのような書き方がよいのかを明確にし,児童のノートを評価する。   

 ②児童の声が響く授業づくり
 課題に対する自分の考えを持ち,友達の意見をよく聞き,練り直した自分の考えを言葉で表現で きる児童を育てていきたい。集団の前で大きな声で発表することを苦手と感じている本校児童に,まずは小集団での発表の場を多く設け,堂々と発表することや意見を述べることに慣れ,自信をつけさせていく。
 また,話すという行為は,相手が聞いてくれることで成立する。自分はこう思う,ここが分からないから考えたい,といった児童の多様な発想や疑問・発見,つまずきなどを受け止める,つまり聞いている教師と児童の姿勢や意識が大切であると考える。児童が互いに考えを聞き合って,それぞれの考えと自分の考えを重ね合わせて考えることができるようにするために,児童から出てきた考えを,他の児童に返し,考えをつないでいくような授業を積み重ねていく。

 ◆話す姿勢や聞く姿勢についての学習ルールの徹底。
 ◆授業の中で発表の場を意図的に設定する。   
 ◆授業者は,児童の言葉を引き出し,児童の言葉を聞き,出された考えから学びを構築していく授業を目指す。

 

(3)振り返りの充実
 振り返りでは授業時間の残り3~5分間を重視し,授業のねらいに正対した振り返りを書かせる。この積み重ねにより「書く」力も高められる。振り返りはインプットを充実させるアウトプットであり,①学習内容を確認する振り返り,②学習内容を既習事項と関係づけたり,一般化したりする振り返り,③自己変容を自覚する振り返り,の3点に焦点をあてて表現させたい。振り返りの方法としては,一人一人ノートに書かせて,発表(内容によっては授業者が伝える場合もある)させる。そのことで児童は自身の学びを実感し,さらに他者の意見を聴くことで新たな気づきを得ることができる。そこで,児童が振り返りの必要感を持てるように以下の手立てをとっていく。   

 ◆振り返りの視点を示し,単なる授業の感想から脱却する。   
 ◆児童が学んだことを整理できるよう,学びの過程が見える板書・ノートづくりを工夫する。   
 ◆児童自身が学びを自覚し,次の意欲につながるよう,よい振り返りの紹介や価値付けをする。

 

6 授業研究 

 参観者は児童の近くで子どもの授業態度や様子,心の動きから児童の思考を探り,児童の姿を通して授業の流れや発問など,授業の本質に迫る授業参観のスタイルをとる。授業は児童のためのものであり,児童の姿を通して授業を検証することを大切にしている。また,教師が小グループで共通事項である児童の姿を見取ることにより,協働性も生まれる。このようにしてつけた見取る力を授業改善につなげ,授業力を高めることに取り組んでいきたい。

 
7 研究主題を具現化するための授業以外の取組  

(1)ユニバーサルデザインを意識した教室環境の整備     
 ①教室前面の掲示物の精選     
 ②学習の流れの統一(めあて(課題)の設定→習得・課題解決→振り返り)     
 ③学びの過程の可視化  

(2)基礎・基本を定着させる取組の工夫
 ①「話すこと・聞くこと」の力を育成するため,異学年での交流や集会等で発表する時間(ぐんぐんタイム)を設ける。
 ②学期ごとに校内漢字・計算テストを実施する。
 ③家庭学習の手引きを配付し,家庭学習パワーアップ週間(校内漢字・計算テスト前の1週間前)を実施することで学習を習慣化させる。また,自主学習の効果的な方法や取組について児童に伝えていく。児童が取り組んだ自主学習ノートの中から手本となるものを掲示したり,教師からよいモデルを伝えたりする。  

(3)学校や家庭での読書活動の推進     
 ①読書の習慣づけ     
 ②読書の継続や読み聞かせの充実     
 ③各学年での必読図書の推進・並行読書     
 ④図書館担当教員や図書委員会による本の紹介     
 ⑤週末の家庭読書  

(4)学力学習状況調査の分析と活用     
 ①全国学力調査,県,町学力調査の結果の分析を授業改善に生かす    
 ②学力分析と今後の対応に関する職員研修

 
8 研究組織